不動産投資の指標 (1) – 有効(賃貸)面積単価と延床面積単価、不動産投資の優良物件です。

不動産投資の指標 (1) – 有効(賃貸)面積単価と延床面積単価

2009年10月21日 by Quality-F

本日は、不動産投資を行なう際の指標を話そうと思う。読者は物件を探す時に色々な指標を参考にしていると思われる。価格帯や利回り、築年、構造をはじめとして土地の面積やロケーション等、多岐にわたる。物件も数多く出ており、一体何を基準に選別すべきか困惑するときもあるかと思う。その際に一つ簡単な目安をお教えしよう。

一般に、収益性は利回りに反映され、資産性は土地面積に反映される。すべてが明らかに優れるような投売り物件(ファイヤーセール)ならいざ知らず、一般的に市場に流出しているものは一長一短であろう。しかしながら、当該ロケーションにおいて、割高か割安か判断する簡単な指標がある。それは床面積単価である。収益を生み出すポテンシャルを図るために用いられるのが賃貸面積単価(有効面積単価)であり、積算的観点から用いられるのが延床面積単価である。

賃貸面積単価は、取引価格(販売予定価格)を有効面積(賃貸可能面積)で割ればすぐに求める事ができる。賃貸可能面積と延床面積との関連性についてはレンタブル比の項を参照頂きたい。この数値を指標として用いれば、周辺で取引された物件等の価格と比べる事ができる。やや、収益構造が事なるものの、周辺の中古マンション単価や新築マンション単価から当該物件の販売価格におけるポジショニングが明確になる。ただし、1棟物と区分ではリスクが異なる(利回りが異なる)ことから注意が必要である。また、ファクトシートや物件概要の中に賃貸面積が記入されていない物件も多い。

次に、延床面積単価であるが、これは取引価格(販売予定価格)を延床面積で割れば、有効面積単価同様にすぐに求める事ができる。延床面積は賃貸面積と異なり、ほぼすべての物件概要に記載がされているので汎用性が高い。例えば、同じような価格帯、利回り水準で同程度のロケーションの物件も単価水準を比較する事により、差異が認められるケースもある。一般にゆとりがある計画のほうが割安な水準となる。周辺で売出されている物件や日経不動産マーケット情報、リートの目論見書等々、情報はいくらでも落ちている。

単価水準を用いる際に注意すべき点は、収益構造が類似した物件をチョイスすべき点である。例えば、レジデンシャルを例にあげれば、単身者用とファミリー用では単価が全然異なってくる。これは、物件の収益の安定性に関ってくるものであるが、外国人向けの最高級住宅地(住戸面積が大きくなれば大きくなるほど単価が上がる)を除くと、一般に、住戸面積が小さくなればなるほど、床面積当りの収益性があがる。1Rとファミリーの賃料単価を比べれば歴然である。ファンドが都心部に単身者やDINKS向けのレジデンシャルをあれほど建設した背景はここにある。話を元に戻すと、1Rの収益物件なら1Rの物件と本来比較しなければいけない。逆に、収益性が高い1Rタイプなのに、周辺のファミリータイプのマンションより単価が劣る場合には、何かの理由があるということがわかるだろう。

最近では競売物件の取得も多く、個別性が強い取引となっており、価格帯にばらつきがある。キナ臭いにおいの漂う低単価の物から、眉間に皺をよせてしまうような高単価のものまで。読者が出来るだけダウンサイドの物件を取得出来ればと説に願う。現在、4th ステージとなった新築マンションの価格帯や、それに後押しされる中古マンション相場、需要が厚い3億までの1棟売り投資物件の相場等々、多角的に物件の価格(単価)について検証し、よりベターな物件を見つけられれば幸甚である。なお、自作自演ではあるが、先日久々の大型取引となった日本アコモデーション投資法人の都内取得物件のNOI利回り水準は6~7%、延床面積単価は100~200万円/坪前後という水準であった。